令和4年から段階的に改正が進められている育児・介護休業法。少子高齢化の進行や働き方改革の推進に伴い、企業における育休取得の環境整備はますます重要になっています。令和7年の改正では、子の看護休暇の見直しや柔軟な働き方を実現するための措置など、育児と仕事の両立を支援するさまざまな施策が盛り込まれています。
この記事では、育休取得推進が求められる背景を整理するとともに、令和7年改正のポイントや育休取得を阻む課題、企業が取り組みやすい施策や成功事例を紹介します。「育休が当たり前に取れる職場」づくりに向け、できるところから実践していきましょう。
- 1. はじめに – なぜ今、育休推進が求められるのか
- 2. 令和7年度 主な改正ポイントおさらい(育児休業関連)
- 2.1. 1. 令和7年4月1日施行
- 2.2. 2. 令和7年10月1日施行
- 3. 育休取得が進まない原因とは?職場における3つの課題
- 3.1. 課題1: 男性が育休を取得しにくい文化
- 3.2. 課題2: 休むことが他の社員への負担につながる業務体制
- 3.3. 課題3: 育休復帰後のキャリア不安
- 4. 育休取得が進んだ企業の成功事例
- 4.1. 事例1: 業務の標準化とIT活用で育休取得時の混乱を防ぐ
- 4.2. 事例2: チームで支える育休者フォロー体制を確立する
- 4.3. 事例3: 「家族参観日」の導入で職場と家庭の相互理解を深める
- 4.4. 事例4: 「パパカフェ・ママカフェ」の開催で復帰後の不安を軽減する
- 5. 実際にできる育休推進策(導入のヒント)
- 5.1. 1. 管理職研修を通じて、育休取得を支援するマネジメントを強化する
- 5.2. 2. 育休取得後のキャリア支援プログラムで、復帰後の働き方をサポートする
- 5.3. 3. 育休取得率の「見える化」で、利用促進につなげる
- 6. 育休推進は企業にとっての成長機会
- 6.1. 社員の定着率向上
- 6.2. 育児経験を通じたマネジメント力向上
- 6.3. 人的資本経営の実現
- 7. 育休推進に向けた環境整備を、現場に根づく支援でサポートします
はじめに – なぜ今、育休推進が求められるのか
現在、日本の育児休業制度は大きな転換期を迎えています。女性の育児休業取得率は高水準を維持している一方、男性の取得率も徐々に上昇しているものの、依然として男女間で大きな差が見られます。
育児休業取得率 | 令和5年度 | (令和4年度) |
女性 | 84.1% | (80.2%) |
男性 | 30.1% | (17.13%) |
出典:「令和5年度雇用均等基本調査」厚生労働省
また、大企業と比べて中小企業では、育休取得率が依然として低い傾向にあります。
事業所規模別 育児休業取得率 | 令和5年度 | (令和3年度) |
500人以上 | 65.7% | (25.9%) |
100~499人 | 37.3% | (24.4%) |
30~99人 | 23.9% | (19.7%) |
5~29人 | 18.8% | (14.3%) |
出典:「令和5年度雇用均等基本調査(事業所調査)」厚生労働省
その背景には、職場の理解不足や業務負担の問題、さらには育休後のキャリア不安といった根深い課題が存在します。
本稿では、育休取得を阻む課題を整理し、企業が取り入れやすい具体的な成功事例や施策を紹介します。育休が当たり前に取得できる、男女ともに働きやすい職場づくりについて考えていきましょう。
令和7年度 主な改正ポイントおさらい(育児休業関連)
1. 令和7年4月1日施行
- 子の看護休暇の見直し
- 名称を「子の看護等休暇」に変更
- 対象となる子を「小学校入学前→小学校3年生まで」に拡大
- 取得事由に「感染症に伴う学級閉鎖、入園・卒園式」を追加
- 労使協定による除外対象者から「雇用期間6ヶ月未満」を撤廃
- 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大
- 対象となる子を「3歳になるまで→小学校就学前」に拡大
- テレワーク導入
- 3歳未満の子を養育する従業員がテレワークを選択できるよう努力義務化
- 3歳未満の子を養育する従業員に時短勤務制度を講ずることが難しい場合の代替措置にテレワークを追加
- 育児休業の取得状況の公表義務の対象拡大
- 常時雇用する労働者数1,000人超の事業主→300人超の事業主
- 次世代育成支援対策推進法の行動計画策定時の義務追加
- 計画策定時の育児休業の取得状況や労働時間の状況把握
- 育児休業取得や労働時間の状況に関する数値目標の設定
- 新たな雇用保険育児休業等給付の創設
- 出生後休業支援給付金
- 育児時短就業給付金
2. 令和7年10月1日施行
- 育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の実施
- 3歳~小学校就学前の子を養育する従業員に対し、以下から2つ以上の措置を選択
- 始業時刻等の変更
- テレワーク等(10日以上/月)
- 保育施設の設置運営等
- 養育両立支援休暇の付与(10日以上/年)
- 時短勤務制度
- 3歳~小学校就学前の子を養育する従業員に対し、以下から2つ以上の措置を選択
- 上記柔軟な働き方を実現するための措置について、社員へ個別周知・意向確認
- 妊娠・出産の申出時に仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮
- 子が3歳になる前に仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮
育休取得が進まない原因とは?職場における3つの課題
育休取得を妨げる要因は、職場の文化や業務体制、個人の不安など多岐にわたります。これらの課題を正しく把握し適切な対策を講じること、が育休が取得しやすい職場づくりの第一歩となります。ここでは、特に重要な3つの課題について詳しく見ていきましょう。
課題1: 男性が育休を取得しにくい文化
日本では、「育休は女性が取るもの」という固定観念が根強く、男性が育休を取得することへの心理的ハードルが高い状況が続いています。出生時育児休業(産後パパ育休)の創設など、近年の改正によって徐々に男性の育休取得率も上昇しているものの、特に中小企業では依然として「男性が育休など考えられない」という風潮が残っているところも多いです。
男性社員の間では、「育休を取得するとキャリアに悪影響があるのでは」といった不安の声も多く聞かれます。また、上司や同僚の理解が得られにくい環境も、男性の育休取得を躊躇させる要因となっています。さらに、ロールモデルが少ないため、育休の実態や復帰後の働き方がイメージしづらい点も課題です。
このような文化的な障壁を取り除くには、経営層による明確なメッセージ発信と、職場全体の意識改革が不可欠です。企業は男性の育休取得が当たり前の文化として根付くよう、積極的に環境を整備し、取得を促進する雰囲気づくりを進めることが求められます。
課題2: 休むことが他の社員への負担につながる業務体制
次に考えられる課題は、育休を取得することで同僚や上司に負担がかかるのではないかという不安です。この懸念が育休取得の大きな障壁となっています。代替要員を確保する仕組みが整っていない企業では、業務を引き継ぐこと自体が難しいという実態があります。
特に小規模な組織では、業務の属人化が進みやすく、特定の社員が長期間離脱すると残る社員の負担が増大し、業務が滞る可能性が高いです。育休に限らず、夏休みなどの長期休暇でもその状態になることを目の当たりにしていると、「自分が休むことで同僚に負担をかけるのではないか」と考え、育休取得を躊躇してしまう人もいるでしょう。
この課題を解決するには、業務の見える化とチームでの共有体制の構築が不可欠です。企業は、育休取得を前提とした業務設計を行い、誰が休んでも円滑に業務が回る組織づくりを進めることが求められます。
課題3: 育休復帰後のキャリア不安
育休から復帰した後のキャリアへの影響も、多くの社員が懸念するポイントです。特に女性の場合、復帰後は時短勤務を選択するケースが多いですが、「責任ある仕事を任せてもらえなくなるのではないか」「昇進や昇格の機会が減るのではないか」と不安を感じる人が少なくありません。
実際に、時短勤務の社員が正当に評価されにくい企業もあり、復帰した先輩社員から時短というだけで評価が下がるといった話を聞き、「頑張っても評価されないなら、育休を取るのはやめよう」と消極的になる人もいます。また、「育休を取得せずに退職しよう」と考えてしまうケースもあるでしょう。
さらに、子どもの体調不良や保育園からの呼び出しによる急な早退などで「周囲に迷惑をかけるのでは」と心理的負担を感じることも、育休取得をためらう要因の1つです。こうした不安を払拭するためには、企業が育休取得後のキャリアパスを明確にし、時短勤務でも適正な評価を受けられる仕組みを整えることが重要です。

育休取得が進んだ企業の成功事例
育休取得を積極的に推進している企業では、さまざまな工夫を凝らした取り組みが行われています。ここでは、特に効果を上げている4つの事例を紹介します。これらの事例は、規模や業種に関わらず、多くの企業で応用が可能な取り組みです。
事例1: 業務の標準化とIT活用で育休取得時の混乱を防ぐ
育休取得者が増えても業務が滞らないようにするためには、業務の標準化とIT活用が欠かせません。「特定の人がいないと業務が回らない」という状況を防ぐために、クラウドツールを活用し、業務を見える化・自動化する取り組みを行うことが有効です。
- 具体的な取り組み
ナレッジ管理システムを導入し、業務のマニュアル化を推進 |
ドキュメントだけでなく動画を活用し、作業手順を分かりやすく可視化 |
タスク管理ツールによって業務の進捗状況をリアルタイムで共有 |
AIやRPAを導入し、定型業務の自動化を図る |
- 期待される効果
業務の属人化が解消され、全員が安心して休める職場風土が根付く |
業務の標準化が進み、新入社員の教育にも活用できる |
業務がシステム化され、リモートワーク時の対応もスムーズになる |
事例2: チームで支える育休者フォロー体制を確立する
育休取得者が出た際に、業務負担が特定の社員に集中しないようにするためには、チーム全体で業務を共有する体制を整えることが重要です。業務の属人化を防ぎ、誰が休んでも業務が円滑に進むようなチームづくりをすると、育休取得の心理的ハードルを下げられます。こうした取り組みは、長期的に見ても社員の満足度と定着率向上につながります。
- 具体的な取り組み
業務シェア制度を導入し、定期的な業務ローテーションを実施 |
育休取得予定者が「業務引継ぎリスト」を作成し、業務内容・対応方法・優先度、必要なスキルやツールを明確に記載 |
育休取得者の業務をチーム全員で分担し、各工程を複数名で対応できる相互バックアップ体制を整える |
育休取得経験者のフィードバックを活用し、引き継ぎの質を向上させる |
- 期待される効果
育休取得時の業務負担が分散され、業務の停滞を防ぐ |
チームメンバー全員のスキル向上につながり、業務の属人化を解消 |
育休だけでなく、病気・介護・突発的な休暇時にも対応できる体制が構築される |
事例3: 「家族参観日」の導入で職場と家庭の相互理解を深める
育児と仕事の両立を支援するには、職場と家庭の相互理解を深めることが不可欠です。 そこでおすすめしたいのが「家族参観日」という社内イベントの導入です。社員の家族に職場の雰囲気や業務内容を知ってもらうことで、働く環境への理解が深まり、より良いサポートが期待できます。また、子どもを持たない社員にとっても、育児の実態を知る貴重な機会となり、職場全体の意識改革につながるでしょう。
- 具体的な取り組み
家族向けにオフィスツアーを行い、実際の業務環境を紹介 |
子ども向けに「親の仕事体験プログラム」を実施し、職場理解を深める |
育児中の社員以外も家族と交流できるレクリエーションを企画 |
参加できなかった社員にも社内報やポータルサイトでイベントの様子や参加者の感想を共有し、次回の参加意欲を高める |
- 期待される効果
家族が職場の環境を理解し、社員へのサポート意識が向上する |
子どもを持たない社員も育児の実態を知ることで、ライフイベントを意識したキャリア形成につながる |
社員同士の育児に対する理解が深まり、育休取得の心理的ハードルが下がる |
事例4: 「パパカフェ・ママカフェ」の開催で復帰後の不安を軽減する
育休取得者がスムーズに復帰するためには、経験者同士の交流が大切です。仕事と育児の両立にはさまざまな課題があり、復帰後の働き方やキャリアへの不安を抱える社員も少なくありません。こうした不安を解消するのに効果的なのが「パパカフェ・ママカフェ」の開催です。育児中の社員同士が気軽に交流できる場を設けることで横のつながりを強化し、復帰後も助け合える関係を築けるでしょう。
- 具体的な取り組み
保育園の合格結果が出る1~2月頃に、育休中の社員を集めた「ママカフェ」を開催 |
年1回、育休を検討している男性社員向けに「パパカフェ」を開催 |
先輩パパママ社員と交流できる座談会や、オンラインで参加可能な情報交換会を企画 |
育児中社員が参加できる社内チャットグループを立ち上げる |
- 期待される効果
育休取得者の孤立を防ぎ、安心して復帰できる環境が整う |
仕事と育児の両立に関する具体的なノウハウが社内に蓄積され、育児支援制度の活用が進む |
育児中の社員同士のネットワークが構築され、情報共有が活発になる |

実際にできる育休推進策(導入のヒント)
育休取得を職場全体で支援するためには、具体的な仕組みづくりが欠かせません。ここでは、企業が取り組みやすい導入のヒントとして、短期間の育休導入、管理職研修、キャリア支援、取得率の見える化の3つの施策を紹介します。
1. 管理職研修を通じて、育休取得を支援するマネジメントを強化する
育休取得の促進には、管理職の理解と支援が不可欠です。 上司の理解がなければ、育休を希望する社員が心理的に取得しにくくなるため、管理職向けの研修を実施し、育休の意義や支援のあり方を周知することが重要です。
研修では、育休取得が企業にとってもメリットとなることを伝え、管理職のマインドを変えるきっかけを作ります。 管理職自身が率先して育休取得を推奨することで、トップダウンで職場全体の意識改革を進められます。
また、実際に育休を取得した社員の体験談を共有し、部下の育休を円滑にサポートする具体的な方法を学ぶことも効果的です。 社内での実施が難しい場合は、外部講師を招くのも1つの方法です。
2. 育休取得後のキャリア支援プログラムで、復帰後の働き方をサポートする
育休取得者の不安を払拭するためには、復帰後のキャリア支援プログラムを強化することが不可欠です。 多くの社員が、育休を取得すると昇進や昇格の機会が減るのではないかと懸念しており、この不安を軽減するための施策の導入が求められます。
具体的には、育休取得者向けのメンター制度や、スキルアップ研修の実施が効果的です。 また、定期的なキャリア面談を実施し、復帰後のキャリアプランを明確にすることで、育休取得者が安心して職場復帰できる環境を整えられます。
企業側も、育休取得をキャリアのブランクではなく、成長の機会と捉えることが重要です。 育児経験を通じて培われるスキルや視点を企業の強みに活かすことで、育休復帰後も社員が活躍しやすい環境づくりが進みます。
3. 育休取得率の「見える化」で、利用促進につなげる
令和7年の改正により、従業員数300人超の企業では、育児休業取得状況の公表が義務化されました。 ホームページや「両立支援のひろば」などで公表を進めている企業も増えていますが、自社の社員にも十分に周知できているでしょうか。
育休取得率の公表は、育休を取得しやすい企業文化を醸成する重要な施策です。具体的には、社内報やポータルサイトで取得率を定期的に公表し、取得者の声を紹介することが考えられます。 また、部署別の取得率を公開すると、マネージャー層の意識を高められます。
さらに、数値目標を設定し、進捗を管理することで育休取得率の向上が期待できます。 育休取得の「見える化」によって、企業の育休推進の意思表示ともなり、利用促進につながるでしょう。
育休推進は企業にとっての成長機会
育休取得の推進は、社員にとっての福利厚生の充実だけでなく、企業の成長にもつながる重要な経営戦略です。定着率の向上や、育児経験を通じたマネジメント力の向上、採用ブランディングの強化など、企業にとって多くのメリットがあります。
社員の定着率向上
育休を取得しやすい職場環境の整備は、社員の満足度向上と離職率の低下につながります。 育休の実績が豊富で復帰後も多くの社員が活躍する企業では、帰属意識が高まり長期的なキャリア形成がしやすくなるため、優秀な人材の確保・定着にも直結します。
また、育休制度の充実は、採用市場での競争力向上にも貢献します。 特に、若年層はワーク・ライフ・バランスを重視する傾向が強く、育休制度の充実は企業選びの重要な要素です。 さらに、仕事と育児の両立を支援する企業は、求職者や社会からの評価が高まり、結果として採用コストも削減できるでしょう。
育児経験を通じたマネジメント力向上
育児を経験した社員は、チームマネジメントや時間管理能力が向上するといわれています。 家事や育児を効率よくこなす中で、段取り力やマルチタスク能力、限られた時間で業務を進めるスキルが自然と身につきます。 これらのスキルを業務に活かすことで、チーム全体の生産性向上も期待できます。
また、育休を取得した管理職が増えると、多様な価値観を理解し、企業文化の向上にもつながります。 企業は育児経験をキャリアの強みと捉え、積極的に評価することが重要です。
人的資本経営の実現
近年注目されている人的資本経営は、社員を単なる労働力ではなく、企業の成長を支える「資本」として捉え、その価値を最大化する経営手法です。 その観点から、育休の推進は企業の持続的な成長と競争力向上に貢献する重要な要素といえます。
企業が育休取得を支援し、その取り組みをデータとして可視化・分析することで、人的資本経営の実践として社内外に発信できます。 また、投資家やステークホルダーは、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点から、企業の人的資本への投資を重要視しており、特に男性の育休取得はESGの「S(社会)」に該当する項目とされています。
育休取得率や復帰後のキャリア支援策を数値化し、レポートとして公表することは、企業価値の向上にもつながります。

育休推進に向けた環境整備を、現場に根づく支援でサポートします
育児休業制度は、整備するだけではなく「実際に社員が安心して利用できる」環境づくりが重要です。特に、育休取得に関する職場の意識改革や、取得後のキャリア支援、業務体制の整備は、企業成長に直結する大切な取り組みです。
また、令和7年の法改正により求められる対応も多岐にわたるため、早めに自社の実情を把握し、現実的に運用できる仕組みを整えておくことが求められます。
うちやま社会保険労務士事務所では、単なる制度整備にとどまらず、現場で活かせる運用支援に力を入れています。育児休業取得推進に向けた制度構築や就業規則の見直し、育休取得・復帰支援プログラムの設計まで、企業の課題に応じたオーダーメイドのサポートをご提供します。
「育休が当たり前に取れる職場」を実現したいとお考えの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。貴社の成長を支える実効的なサポートをご提案いたします。