うちやま社会保険労務士事務所 代表
内山 美央

Mio Uchiyama


大阪府社会保険労務士会所属 第13170048号

二度の就活で見出した「人と言葉が好き」という自分軸

新卒の就職活動はどのような軸で仕事探しをしていましたか?

「20代のうちに1度は東京で働いてみたいな」と考えながら、新卒時代は広告業界を志していました。大手広告代理店からイベント系会社までエントリーをして、ご縁があったのは大手アパレルの販売職と大手通信会社の営業職の2つ。
いずれ本部に異動して広告やマーケティング担当になりたいと考え、一度はアパレル会社の内定を承諾します。しかし結局、自分の中にあった違和感をぬぐい切れず内定辞退をすることになりました。

同期はとても魅力的だし素敵な会社でしたが、人生に一度の新卒の機会を大切にしたかったんですよね。第一志望の業界を諦めきれず、就活に再チャレンジしたいと、内定者研修の帰り道に両親に電話をしました。地元大阪への夜行バスを待ちながら両親に話をしたことは今でも鮮明に覚えています。

二度目の就職活動はどのように進めましたか?

自己分析をやり直す中で見えてきたのは、「人」「言葉」という2つのキーワードでした。シンプルに「人が好き」「人のために何かをしたい」という気持ちと、「言葉を大切にしたい」「言葉で伝えたり表現したりする活動が好き」という2つの思いに気付けたのは、自分にとって大きな収穫だったと思います。

実は大学の専攻は日本文学で、読書や創作活動はとても身近なところにありました。また、2つのキーワードを辿っていくと、最初の就活で広告・出版業界を志望した理由にも紐づきます。

二度の就活で見つけた"自分軸"をヒントにしながら活動を続けた結果、人事部向けサービスを展開する株式会社ミナジンに出会いました。「世の中のすべての会社に人事を提供したい」という社長の熱い「言葉」や人柄に惹かれ、人事部の支援を通してさまざまな「人」を後押しできることが決め手となりました。

ベンチャー企業のハードワーク×難関国家資格への挑戦

1社目で印象的だったエピソードを教えてください

1番印象に残っているのは、やはり社労士受験とハードワークの両立です。ミナジンで「新卒は社労士受験にトライしてみよう」という方針が掲げられたのが受験のきっかけでしたが、二年目以降の受験は任意となっていました。

他の同期たちは2回目以降の受験をしませんでしたし、私も本当は無理に受けなくても良かったんですよね。でも、「お客様と対等に会話できるようになりたい」という思いと、負けず嫌いの性格が後押しして受験を続けることにしました。

当時の会社は30名規模で1人あたりの業務量も多く、それなりに残業もあってハードワークの日々。一年目の受験で社労士試験の難しさに気付き、二年目はTACの通学コースに入会をしました。あえて平日夜の通学コースを選んで「授業の日は絶対に仕事を終わらせる」というプレッシャーをかけながら必死に勉強をしました。

三年目は、効率重視でWeb講座に切り替えて、法改正や直前対策は押さえつつもひたすら問題集を解いていましたね。当時の上司には「信号の待ち時間も問題解いていた」と言われましたが、自分ではあまり覚えていなくて(笑)。そのくらい必死になって、がむしゃらに仕事と勉強に全てを注ぐ三年間を過ごしました。

そうして努力が実り、三年目の夏に合格。社労士試験は8月に行われるので、毎年試験の直前期には近所の花火大会の音を聞きながら「いつまで勉強が続くんだろう」と、不安と戦っていました。それも今では良い思い出です。最後はとにかく「名刺に社労士の肩書きを絶対に入れる!」という精神力だけで乗り切ったと思います。

合格後、仕事にどのような影響がありましたか?

合格後は周囲からの目がものすごく変わったことを実感しました。合格前は若手社員がゆえ、商談中に私ではなく上司の目ばかり見て話されたり、お客様に「話が分かる社員に代わって」と言われたりしたこともあります。

ですが、社労士に合格してからは名刺交換の際に「社労士なんですね!」「実は私も勉強していたことがあって…」と声をかけていただく機会が増えたんです。資格取得をきっかけにここまでお客様とのコミュニケーションが変わるのかと驚きましたし、本当に頑張って良かったと心底思いましたね。

その後、退職するまでは社労士受験で得た知識を生かしながら、法人営業と勤怠システム導入後の労務サポートまで兼務しました。

人事労務の実務経験を積むためにキャリアチェンジを決意

資格取得後、2社目に転職した経緯を教えていただけますか?

社労士に合格した年に大阪から東京へ転勤して、新規営業と導入支援を兼務しながら、忙しくも充実した日々を送っていました。しかし、社労士の知識を身につけて、業務の幅が広がったことでより一層「人事労務の実務経験を積んでみたい」という気持ちが強くなったのが転職のきっかけです。

他にも、社労士合格者を対象とする研修を受けたり、社労士向けの会誌を見たりすることで、人事実務への関心が高まったのもキャリアチェンジを後押ししました。

2社目は、国際会議など大規模イベントの運営事業を展開する日本コンベンションサービスという会社に転職。幅広く人事業務を経験できるのが入社の決め手となりました。

入社後、どのような人事業務を経験したのか教えてください

私は人事制度チームに配属となり、最初は保険手続きと給与計算を担当しました。業務に慣れてきたタイミングでDX推進のプロジェクトに着手し、人事関連業務を順次システム化。人事関連システムの選定・導入や運用業務の際は、1社目の勤怠管理システム導入支援の経験が活きたポイントだと思います。

他にも、人事制度の変更や働き方改革のプロジェクトの立ち上げをはじめ、中途入社研修の見直しや社内ポータルサイトの作成、健康経営の取得、女性活躍推進をテーマとした人事施策の企画・実行まで幅広い経験をしました。

育休を取得するパパママ社員も多く、すべての社員が働き続けられる環境づくりに取り組む会社でした。私もやりがいのある施策に携わることができ、とても充実した経験となっています。

HRベンダーから人事に立場を変えたからこそ見えたもの

HRベンダーから人事職に立場を変えて苦労したことはありますか?

1社目は30名規模のITベンチャー企業、2社目は300名規模の事業会社だったので、物事を一つ進める毎に社内合意をとるのは大変でしたね。例えば、新しいシステムを導入する際に、代表や情シス、人事部、関連部署など、それぞれの立場が納得できるよう調整したりプレゼンしたりする必要がありました。

1社目は「良いアイデアはまず行動してみよう」というベンチャー企業ならではの風土がありましたが、2社目はしっかり下準備をして着実に進める文化。このギャップに慣れるまで、苦労したのは事実です。しかし、熱意をもってロジカルに伝えれば認めてもらえる温かい社風もあったので、一つずつ壁を乗り越えることができました。

もう一つ、人事になって気付いたことは「会社ごとに色んな社内事情があるんだな」ということです。営業時代は、お客様都合でやり取りが止まったときに状況が分からずもやっとした経験も。しかし人事になってみると、社内稟議や調整に時間がかかることに気付いたんですよね。人事部ならではの悩みや気持ちを知ることができたのは、大きな学びになりました。

「国家資格を生かして社会貢献したい」という思い

出産・育休やコロナ禍を経て、どのような感情変化がありましたか?

2020年以降のコロナ禍では多くのコンベンションが開催中止となり、在籍していた会社は大打撃を受けました。多くの会社が事業継続に苦しむ姿を目の当たりにしながら、「国家資格保有者として私に何かできないのか」と考えるようになりました。

それと同時に、社労士の先輩方が立ち上げた有志プロジェクトに大きな刺激を受けたんです。そのプロジェクトは、助成金や国の制度にまつわる情報提供を無料で行うもので、国家資格者だからこそできる社会貢献を体現したものでした。

その姿を見て、私ももっと多くの人に影響を与える仕事がしたい、この資格を生かしたいと思う気持ちが湧きあがりました。これをきっかけに先々のキャリアを見つめ直し、第一子出産後、開業を決意するに至りました。

開業に向けて準備するにあたって苦労したことはありますか?

もっと世の中のたくさんの会社の役に立ちたいという自分の本音に気付いたものの、何から・どのように準備をすればいいのか分からず困りましたね。右も左も分からない状態でした。でも、これらの悩みは周囲の人の助けを借りて、乗り越えることができたんです。

具体的に行ったことは、社労士会に参加して横のつながりを作ること。先輩方に積極的に声をかけて、相談をしてみました。すると、ありがたいことに「協力事務所になろう」というお話をいただいたり、タイミング良く「社労士を探している」と旧友から連絡がきたりしたんです。

少しずつではありますが、新たな人とのつながりを求めて行動した結果、開業準備を進めることができました。

ITに強い労働時間管理のプロフェッショナルとして届けたい価値とは

無事に開業日を迎えた今の気持ちを教えていただけますか?

さまざまな人に背中を押されて、無事に今日まで開業準備を進めることができました。まずは関わっていただいた皆さまや、私の意思決定に理解を示してくださった前職の皆さまに感謝を伝えたいです。

開業準備をしながら初めての子育てに奮闘する中で、次第に「娘にかっこいいお母さんの姿を見せたい」という思いが出てきました。夫も前向きに背中を押してくれましたし、今は家族のためにもチャレンジすると気持ちを固めています。

開業準備中にも関わらず、さっそくお客様とお話する機会をいただけて「お客様と話すのって楽しい!」と感じる日々を過ごしています。この楽しさ、わくわくする感情を大事にしていきたいですね。

ご自身の強みを生かして、どのように社会貢献していきたいですか?

今後は、「労働時間管理のプロフェッショナル」として、また「ITサービスに関する幅広い知見」を活かして、会社の成長を後押しする経営パートナーを目指していきます。
労働時間管理に取り組むには、最新の法制度の理解に加えて、人事部の現場理解が必要不可欠です。私は事業会社の人事労務の実務経験もあるため、知識と実務を結びつけたコンサルティングが可能です。

長時間労働の課題は、掘り下げていくと業務体制や進め方の抜本的な見直しが必要になる場面も多々あります。労働時間管理をきっかけに、人事領域だけでなく事業領域まで、会社の生産性向上・業績改善の実現をサポートしたいですね。

また、2022年4月の育休法改正をきっかけに、世間では子育てと仕事の両立が注目されているタイミングです。私自身も出産や育休取得経験があるので、当事者の視点や人事現場の温度感も分かるのも強みだと思います。この経験や知識を活かして、男性育休支援、女性活躍推進、健康経営取得などにも取り組み、「働きやすい会社づくり」のサポートをしていきたいです。

もう一つの軸は、ITを活かした経営支援です。私はITベンチャー企業で勤務経験があり、今まで勤怠管理や給与計算、人事労務管理の幅広いクラウドシステムを扱ってきました。この経験を活かして、人事部を筆頭としたDX推進もサポートしたいと考えています。
全国各地、リモートでの対応も可能ですので、ぜひお気軽にお問合せください。

法改正が続き、社会全体でDXが重要視されている現代で、あらゆる情報へのキャッチアップが本当に大変だと思います。皆さまの右腕となり、「働きやすい環境づくりから企業の未来を支える」ため、伴走していきたいです。

この記事を書いた人

横内 さつき
採用コンサルタント/HR専門の編集者・ライター
https://note.com/satsukishigoto/

人事・人材系のキャリアを10年以上積みながら、ビジネスメディアでの編集者・SEOライターに従事。求人広告や採用サイトなどの採用広報コンテンツをはじめ、社労士実務経験を生かした労務・法令にまつわる記事制作や、経営者・人事向けインタビュー記事を多数制作。
制作した求人記事は1500以上、SEOライティングは年間約200本以上。
人事・採用・労務・組織のテーマだけでなく、金融やブライダル、子育てメディアの制作経験もあり。